▼はじめに
・ラグビー界の国際色豊かさについて
日本のリーグワンは、世界のトップレベルの選手達が数多く在籍しており、世界的で最も国際色が豊かなラグビーリーグの１つです。
また、リーグワンから2023年のワールドカップに20人以上出場しました。その中には、ラグビー王国ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチン、ウェールズのトップ選手も含まれます。
例えば、2022年度のリーグワンに出場した選手を挙げると、世界最優秀選手に選ばれたことがあるピーター・ステフ・デュトイ（トヨタヴェルブリッツ）やオーストラリアのトライゲッターであるマリカ・コロインベテ（埼玉ワイルドナイツ）です。
過去には、ニュージーランド代表の伝説的なスタンドオフであるダン・カーターやオーストラリアのジョージ・グレーガンも在籍していました。
今回、2023年度のリーグワンの観戦を更に面白くさせる、注目すべき外国人選手（BK）5選について紹介していきます。
▼チェスリン・コルビ
（引用元：THE ANSWER )
・プレーヤープロフィール
1993年10月28日生まれ。南アフリカ、クラーイフォンテーン出身。171cm、74kg。ポジションはウイング（WTB)、フルバック（FB）。
・今までのキャリアと成績
コルビは2009年にウェスタン・プロビンスのユースチームでプレーを始めました。ラグビープレイヤーとしての頭角を見せ、プロヴィンシャル・ファーストクラスデビューをすると同時にスーパーラグビーのストーマーズでもプレーをしていました。その後、フランスリーグTOP14の強豪、トゥールーズに移籍し、2019年のフランスリーグ、2021年のヨーロッパリーグでの優勝に大きく貢献しました。
代表としては、2018年の南半球ラグビーチャンピオンシップでキャリアをスタートしました。15人制の代表に選出される前には、2012年から2017年まで7人制の代表としてプレーをしており、2016年のオリンピックでは銅メダルを獲得しています。
・プレースタイルと特徴
なんといっても弾丸のようなスピードと、姿が一瞬消えるようなサイドステップが持ち味です。彼の最高速度は100メートルを10.70秒で走り切ることができ、世界のラグビー選手の中で最も早い選手であることを示しています。また、先日開催されたワールドカップ2023年大会のフランス代表との準々決勝で、相手キッカー、トマ・ラモスのコンバージョンキックをチャージしたプレーは、世界中のラグビーファンを驚愕させました。
・所属チームと役割
昨年度までは、フランストゥールーズにて15番フルバックとしてプレーしていました。ワールドカップ終了後は、日本のサントリーサンゴリアスに移籍し、ウイングあるいはフルバックとしてプレーすることが期待されます。
・注目ポイントと将来の展望
世界最高峰のウイングであるコルビと、日本最高峰のウイングである松島幸太朗選手の共演が見どころです。また、埼玉ワイルドナイツには、オーストラリア代表のトライゲッターであるマリカ・コロインベテ選手が在籍しており、彼とのマッチアップには目が離せません。
▼ボーデン・バレット
（引用元：The Japan Times)
・プレーヤープロフィール
1991年5月27日生まれ。ニュージーランドのニュープリマス出身。187cm、91kg。ポジションはスタンドオフ（SO）、フルバック（FB）
・今までのキャリアと成績
バレットは2010年にニュージーランドの北島タラナキで地域代表デビューを果たし、翌年にはニュージーランドの首都ウェリントンに本拠地を置く、ハリケーンズでプレーしました。ハリケーンズでは、主力選手として初の優勝に導いた経験もあります。
代表としては2012年に初めてオールブラックスに選出され、2015年、2019年、2023年と３大会連続でワールドカップに出場し、チームの欠かせない存在となっています。さらに、2016年と2017年に連続してワールドラグビーの最優秀選手に選出される快挙を成し遂げ、世界のラグビー界で最も優れた選手の一人であることを証明しています。
・プレースタイルと特徴
スタンドオフ、フルバックとして、「ラン・パス・キック」を高いレベルでこなし、ラグビーフットボーラーとして象徴的な選手です。特に、相手ディフェンスを切り裂くランニングが魅力的で、これまで幾度となく得点のチャンスを掴んできました。
・所属チームと役割
現在、ニュージーランドのオークランドに拠点を置くブルーズでプレーをしています。ここ数年、オールブラックスでは、15番フルバックを背負うことが多く、10番スタンドオフのリーチーモウンガ選手と共にゲームコントロールすることが多いです。
・注目ポイントと将来の展望
2023年のワールドカップ後は日本のトヨタヴェルブリッツでプレーすることが決まっています。同じタイミングで同じトヨタに移籍する、同じくオールブラックスのスクラムハーフ（SH）アーロン・スミスとのHB団が実現すれば、日本で世界最高峰のHBが見られることになります。
▼アーロン・スミス
（引用元：Stuff )
・プレーヤープロフィール
1988年11月21日生まれ。パーマストンノース出身。171cm、82kg。ポジションはスクラムハーフ（SH）。2023年11月2日現在、125Cap保持。
・今までのキャリアと成績
スミスは2008年にニュージーランドのマヌワツで地域代表デビューを果たすと同時に、ウェールズで開催されたU-20ニュージーランド代表としてジュニア世界選手権大会に出場しました。その後、2010年にはマオリオールブラックスデビューします。2011年にスーパーラグビーハイランダーズに加入した後、スクラムハーフとしての頭角を表し、2015年にはチーム初の優勝に導きました。
代表としては、2012年にデビューしてすぐに、スクラムハーフの第一候補としての地位を築きました。2018年にはオールブラックスのスクラムハーフとして歴代82テストマッチに出場し、2021年に行われたオーストラリア戦で100Capを達成しました。
・プレースタイルと特徴
素早い球出しと正確なキックが持ち味です。また、ランナーとしても優れており、幾度となくチームメイトのトライをアシストしたり、フィニッシャーとしてボールを受けてトライを量産してきました。
・所属チームと役割
ワールドカップ終了後に、日本のトヨタヴェルブリッツへ、オールブラックスのチームメイトであるボーデン・バレットと共に加入します。ちなみに、日本代表キャプテンである姫野和樹選手が2021年にハイランダーズにプレーをしていた時に、一緒にプレーをしています。彼と姫野選手はお互い親友だと認めており、日本で同じチームメイトとして再会するのはドラマみたいですよね。
・注目ポイントと将来の展望
なんと言っても、オールブラックスチームメイトであるボーデンバレットとのHB、盟友である日本代表キャプテンである姫野選手との共演では無いでしょうか。
▼リーアム・ウィリアムズ
（引用元：Wales Online ）
・プレーヤープロフィール
1991年4月9日生まれ。ウェールズ出身。188cm、85kg。ポジションはフルバック（FB）、ウイング（WTB）。
・今までのキャリアと成績
ウィリアムズは地元のWaunarlwydd RFCでラグビーを始めました。しかし、若かりしウィリアムズはウェールズの地域代表として選出されることなく、16歳から足場職人の見習いとして働きながら、ラグビーをプレーをしていました。しかし、20歳の時にウェールズのラネリに拠点を置いているプロラグビーチーム、スカーレッツと契約を結び、その後すぐにウェールズ代表に選出されました。また、2017年と2021年のブリティッシュ・アイリッシュライオンズにも選出され、FBとしてチームの勝利に貢献しました。
・プレースタイルと特徴
しなやかで力強いランニングが特徴的で、最後列からディフェンスを切り裂いていくアタックが魅力的です。特に、ブリティッシュアンドアイリッシュライオンズとして出場したニュージーランド戦では、相手ディフェンスを置き去りにするカウンターアタックを見せ、ライオンズのトライの一つを生み出しました。
・所属チームと役割
2023年のワールドカップ終了後、日本のクボタスピアーズ東京・ベイに加入します。クボタスピアーズでは元オーストラリア代表のバーナード・フォーリーとチームメイトになります。
・注目ポイントと将来の展望
ヨーロッパの一流選手が日本のリーグをすることは珍しいです。トヨタヴェルブリッツのウィリー・ルルー（南アフリカ代表）とのマッチアップが見どころです。
マリカ・コロインベテ
（引用元：the Japan times)
・プレーヤープロフィール
1992年7月26日生まれ。フィジー出身。182cm、96kg。ポジションはウイング（WTB）。
・今までのキャリアと成績
フィジーの人理離れた家族経営の農場で育ち、2011年にラグビーリーグ（13人制のラグビー）でプレーをするためにオーストラリアに移住しました。ラグビーリーグではウェスト・タイガースとメルボルン・ストームでそれぞれ3シーズンずつプレーし、合計74試合で46トライ生み出しました。2016年にメルボルン・レベルズと契約後、15人制への移行を発表しました。
その翌年の2017年のラグビーチャンピオンシップで、代表デビューを果たし、ワールドカップに初出場した2019年にはオーストラリアの年間最優秀選手として、ジョン・イールズメダルを受賞する快挙を成し遂げました。
・プレースタイルと特徴
100mを10秒前半で走る俊足と、タックルを受けても倒れない足腰の強さが武器です。ワールドカップで最多トライ数記録（タイ）を生み出した、ニュージーランド代表のウイング（WTB)、ウィル・ジョーダンが”Marika Koroibete had been setting the benchmark for wingers over the last two or three years（マリカ・コロインベテがここ数年のウイングの基準になっている）”と言ったように、彼が世界最高峰のウイングの1人であることは間違いありません。
また、アタックだけでなく、ゴール前で相手のトライを阻止するセービングタックルも彼の持ち味です。特に2022年に行われた南アフリカとのテストマッチでは、試合の勝利を決定づけるトライセービングタックルを披露し、彼の脅威をラグビー界に知らしめました。
・所属チームと役割
2022年シーズンから日本の埼玉パナソニックワイルドナイツでプレーをしており、リーグワン2022-23シーズンでは40得点（8トライ）を挙げました。ワールドカップ終了後も引き続き、ワイルドナイツでプレーをする予定です。
・注目ポイントと将来の展望
「サイクロン」の異名の通り、スピードと突破力の兼ね備えたトライゲッターをして、ワイルドナイツの勝利の原動力になることが期待されます。また、上述した来シーズン来日するチェスリン・コルビやボーデン・バレット、リーアムウィリアムズなどの世界トップクラスのバックスリー同士のマッチアップには目が離せません。
▼まとめ
本記事ではリーグワンで注目すべき外国人選手（BK）5選について紹介しました。
日本のラグビーは世界的にボールの展開が早いことで有名です。それ故に、外国の超一流選手でさえも、日本の高速展開ラグビーを経験することが、ラグビー選手として成長できるメリットである感じ、来日する選手が後を絶ちません。
私もアイルランドに短期留学していた時に、アイルランドのプロラグビーの試合を毎週観戦していましたが、日本のラグビーと比較すると、とてもゲーム展開が遅く感じました。ただ、重量のあるFWが次々とアタックしていく様子はとてもインパクトがあり、見応えがありました。
